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「加害者の足跡なき殺人」への"こだわり"が感じられるミステリ【吸血の家】

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~大量の注釈付きミステリ~
二階堂黎人『吸血の家』講談社

 

 

 

あらすじ

 

美しき三姉妹の悲劇。二階堂蘭子が謎に挑む! ーー江戸時代から遊廓を営んでいた旧家に、もたらされた殺人予告。かつて狂死した遊女の怨霊祓いの夜、果たして起きた2つの殺人事件。折しも乱舞する雪は、24年前の惨劇にも似て……。名探偵・二階堂蘭子が解きあかす「密室」そして「足跡なき殺人」の謎。美しき三姉妹を弄ぶ、滅びの運命とは!?

 

引用元:講談社BOOK倶楽部

(https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000198454)

 

忙しい人向け(三行)

江戸時代からの旧家
24年前と現代(昭和)
奇妙な殺人事件が起こる

 

主要登場人物

二階堂 蘭子(にかいどう らんこ)
本作では大学生
≪推理小説研究会≫と≪美術クラブ≫のふたつの同好会を掛け持ちしている。

 

二階堂 黎人(にかいどう れいと)
本作では大学生
著者と同名の登場人物。蘭子とは義兄妹の関係。

 

雅宮 絃子(まさみや いとこ)
雅宮家美人三姉妹の長女
物腰が柔らかい。47歳。

 

雅宮 琴子(まさみや ことこ)
雅宮家美人三姉妹の次女
毅然として厳(いか)つい。45歳。

 

雅宮 笛子(まさみや ふえこ)
雅宮家美人三姉妹の三女
姉ふたりとは年齢が離れている。30歳。

 

雅宮 冬子(まさみや ふゆこ)
絃子の長女。幼少の頃より病弱な体質。29歳。

 

大権寺 瑛華(だいごんじ えいか)
霊媒術師。神道系の新興宗教を広めようとしている。52歳。

 

成瀬 正樹(なるせ まさき)
笛子の婚約者。御曹司。とてもハンサム。35歳。

 

特徴

二階堂蘭子シリーズの第2作目!


惨劇の予言、一族の因縁、怪しげな宗教団体と、不気味な雰囲気が物語を通底しています。


作品内で現実の古典ミステリにたびたび言及するのも特徴ですね。


古典ミステリのネタバレを少しでも気にする方はお気をつけください。

 

 

※シリーズ第1作目は『地獄の奇術師』。前作のネタバレはないので『吸血の家』から読んでも問題ありません。

 

この作品に向いている人

足跡のない殺人、密室が好き。
事件現場の図解が好き。
・シンプルなトリックが好き。
・ミステリ談義が好き。

 

この作品に向いていない人

・視覚的に派手なトリックが好き。
・長めの小説は読みたくない。

古典ミステリのネタバレは絶対に見たくない。

 

まとめ

古典ミステリのエッセンスがたっぷり詰め込まれた本格ミステリです。


横溝正史を彷彿させる空気感も相まって、こってりとした味わいですね。


文章そのものは抑制が利いており、意外にもすいすいと読み進められます。

 

追記①この小説が好きな方にオススメ 

ブラジル蝶の謎

作者は有栖川有栖短編集
足跡に関するミステリが2作収録されています。

 

雪密室

作者は法月綸太郎
登場人物としての法月綸太郎が初登場する作品でもあります。
ド直球なタイトルですが、内容がわかりやすくて助かりますね!

 

 

刺青殺人事件

作者は高木彬光

『吸血の家』の作中で、蘭子に「社会派へ逃げてしまったことがあるので、減点」などと評されていますが……

 

 

山魔の如き嗤うもの

作者は三津田信三
こちらの作品も横溝正史作品を彷彿させるものがあります。
刀城言耶シリーズの第4作目です。