~極悪探偵が大活躍?~
森川智喜『スノーホワイト』講談社
↓前作はこちら。
あらすじ
「真実を映し出す鏡」をもつ反則の名探偵・襟音ママエは、舞い込む事件の真相は分かるが、推理は大の苦手。ある事件が縁で顔を合わせた探偵・三途川理が、窮地に陥れようと策を練っていることも知らず――。おとぎ話のような愛らしい世界で、鋭い論理バトルが展開される、第十四回本格ミステリ大賞受賞作。
引用元:『スノーホワイト』、2014年、講談社
主要登場人物
襟音 ママエ(えりおと ままえ)
私立探偵を営む中学生。
〈なんでも知ることのできる鏡〉を持つ。
グランピー・イングラム
小人(こびと)。
襟音ママエの助手を務めている。
三途川 理(さんずのかわ ことわり)
私立探偵を営むツンツン髪の青年。
ゲスという言葉に手足が生えたかのような存在。
緋山 燃(ひやま もゆる)
私立探偵を営む赤毛の青年。
極悪探偵・三途川とは対照的に実直な人柄をしている。
特徴
〈名探偵三途川理〉シリーズの第2作目。前作を読んでいなくても楽しめます。
いわゆる"特殊設定ミステリ"であり〈なんでも知ることのできる鏡〉が存在する世界の物語です。
〈鏡〉やら〈小人〉やら、モチーフが白雪姫(原題:Snow White and the Seven Dwarfs)であるのは言わずもがな。
本小説は二部構成をとっており、第一部と第二部で物語の毛色が大きく異なります。
第一部は依頼人が提示する問題の解決、第二部は三途川探偵陣営との対決が展開されますね。
個人的にはミステリ色の強い第一部が好みです。
ただし、バカミス(誉め言葉)の領域に片足を突っ込んでいる感は否めないので苦手な方はご注意を。
この小説に向いている人
・いわゆる"特殊設定ミステリ"が好き。
・ある程度ミステリに読み慣れている。
・コミカルなキャラクターが好き。
この小説に向いていない人
・派手なトリックを期待している。
・ご都合主義的な展開は苦手。
・描写が少なく、説明が多い文章は苦手。
まとめ
推理よって真相を導くのではなく、真相から逆算してそれっぽい推理を捻り出すプロセスが魅力的です。
ミステリとしてはもちろんですが、ドタバタ喜劇としても大いに楽しめる作品だと思います。
特に三途川探偵の極悪非道っぷりは必見ですね。
探偵が怜悧な頭脳を悪事に活かすとこうなるのか……といった感じです。
追記①この小説が好きな方にオススメ
踊る人形
続編です。
さよなら神様
作者は麻耶雄嵩。
各物語の冒頭で全知全能の神様が犯人の名前を明示します。
この特殊設定を逆手に取った展開もあります。
魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?
作者は東川篤哉。
若手刑事と魔法使いが活躍するミステリです。
犯人選挙
作者は深水黎一郎。
読者が犯人を決めるという試みに挑戦した怪作です。