~読む人が読めばブチ切れ間違いなしのミステリ~
歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』講談社
あらすじ
〈頭狂人〉〈044APD〉〈aXe〉〈ザンギャ君〉〈伴道全教授〉。
奇妙なニックネームの5人が、ネット上で殺人推理ゲームの出題をしあう。
ただし、ここで語られる殺人はすべて、出題者の手で実行ずみの現実に起きた殺人なのである……。
リアル殺人ゲームの行き着く先は!?
引用元:講談社BOOK倶楽部
(https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000205260)
モラルゼロの
登場人物たちが
殺人品評会
主要登場人物のハンドルネーム
〈頭狂人〉
頭にダース・ベイダーのマスクをかぶっている。
ボイスチェンジャーを通して喋るのが特徴。
〈aXe〉
ジェイソンのようなホッケーマスクをかぶっている。
たまにミニチュアの手斧を振りまわす。
〈ザンギャ君〉
ウェブカムに映しているのはペットの亀。
やや毒舌。
〈伴道全教授〉
アフロのカツラとグルグル眼鏡を着用。
芝居がかった口調で喋る。
〈044APD〉
素顔をさらしているが、映像にソフトフォーカスのフィルターをかけている。
ぼそぼそと呟くようにして喋るのが特徴。
特徴
奇妙なハンドルネームを持つ5人が、映像と音声によるAVチャットを通じて推理ゲームを行います。
このゲームの特筆すべき点は、出題者が現実でトリックを実際に実行し、その方法を他の参加者に推理させるという、常軌を逸したルールにあります。
すなわち、殺人そのものをゲームとして楽しむという異常性が、この物語の軸となっています。
倒錯とスリルに満ちたこの作品は、人間が守るべき道徳につばを吐きながらも、読み手を最後まで惹きつける不思議な魅力を持っています。
この作品に向いている人
・トリックを重視している。
・過激な表現が好き。
・胸糞悪い話を期待している。
この作品に向いていない人
・犯人当て(フーダニット)を重視している。
・動機を重視している。
・たとえ物語であっても、倫理観を欠いた人物は鼻持ちならない。
まとめ
考案したトリックを世に示すためだけに殺人を行う登場人物たち。その倫理観の欠如は、もはや呆れるほかありません。
当然のことながら彼らに感情移入などできるはずがないのに、ユーモラスな掛け合いと非日常の刺激のせいか、なぜか作品には没入することができます。
もしも結末に消化不良を覚えるようであれば、ぜひ続編にも目を向けてみてください。そこにはさらなる驚きが待っています。
追記①この小説が好きな方にオススメ
密室殺人ゲーム2.0
続編です。
ミステリー・アリーナ
作者は深水黎一郎。
ミステリマニアたちが、早い者勝ちの犯人当てクイズに挑みます。
司会者がアンモラルです。
密室黄金時代の殺人
作者は鴨崎暖炉。
倫理観ほぼゼロ。密室トリックのためだけに殺人。
ダンガンロンパ
推理アドベンチャーゲームです。
主に学園の生徒たちが、クローズ・ドサークルの憂き目に遭います
お前の彼女は二階で茹で死に
作者は白井智之。
例のごとく、倫理観が終わっています。
インシテミル
作者は米澤穂信。
クローズド・サークルを舞台にしたデスゲームです。
12人の老若男女が多額の報酬を巡って"争い"ます。
その可能性はすでに考えた
作者は井上真偽。
やや倫理観が吹っ飛んだ作品です。