~セルフパロディとユーモアに満ちた本格ミステリ~
貴志祐介『ミステリークロック』KADOKAWA
収録作品とあらすじ(1行)
1.「ゆるやかな自殺」(短編)
開錠を頼まれただけなのに、なぜかヤクザの内紛に巻き込まれ……
2.「ミステリークロック」(中編)
晩餐会に参加したはずが、命をかけた推理ゲームに巻き込まれ……
※文庫版の収録作品です。後述しますが、単行本は収録作品が異なります。
主要登場人物
榎本 径(えのもと けい)……防犯ショップの店長。飄々とした雰囲気の男性。殺人だけは絶対に許さない。
青砥 純子(あおと じゅんこ)……弁護士。正義感と知性を兼ね備えた女性。やや天然なところがある。
特徴
両編ともユーモアに満ちているため、読んでいて飽きません。
ただし「ミステリークロック」は頭を使わないと展開に置いてきぼりにされます。
疲れているときの気分転換には向かないでしょう。
この小説に向いている人
・"読者への挑戦状"がなくても積極的に推理する。
・貴志祐介の『悪の教典』を読み終わっている。
この小説に向いていない人
・視覚的に地味なトリックは好きじゃない。
・ギャグ化しつつある榎本&青砥のペアを見たくない。
まとめ
防犯探偵・榎本シリーズの第4作目。
緻密な計算に基づいた本格ミステリです。
貴志祐介のセルフパロディもあるので、同作者の作品が好きな方は一層に楽しめますよ?
シリーズの刊行順がわかりづらいので、以下に明記しておきます。あと注意点も。
防犯探偵・榎本シリーズの第1作目
貴志祐介『硝子のハンマー』KADOKAWA
当ブログでの紹介記事はこちら。
防犯探偵・榎本シリーズの第2作目
貴志祐介『狐火の家』KADOKAWA
防犯探偵・榎本シリーズの第3作目
貴志祐介『鍵のかかった部屋』KADOKAWA
防犯探偵・榎本シリーズの第4作目
貴志祐介『ミステリークロック』KADOKAWA
文庫版です。
防犯探偵・榎本シリーズの第5作目
貴志祐介『コロッサスの鉤爪』KADOKAWA
注意点
単行本の『ミステリークロック』は、文庫版の『ミステリークロック』と『コロッサスの鉤爪』の作品が収録されています。
具体的には「ゆるやかな自殺」「ミステリークロック」「鏡の国の殺人」「コロッサスの鉤爪」の4編が収録されていますね。
単行本の『ミステリークロック』と文庫の『コロッサスの鉤爪』を購入してしまうと、結果として同じ作品を二重に購入することになるのでご注意ください。
以下が単行本verです。
貴志祐介『ミステリークロック』KADOKAWA