本格ミステリ(本格推理)ゲームとは?
プレイヤーが能動的に推理し、事件を解決に導くことを目的とするゲームの総称です。
これらのゲームは、単に物語を進めるだけでクリアできるものではなく、プレイヤーが積極的に考え、推理することが求められます。
以下に紹介する作品は、一般的な"謎"と"解決"だけのミステリゲームでは満足できない方に向けて、推理の過程を堪能できる内容となっています。推理の楽しさを存分に味わいたいあなたも、きっと満足できることでしょう。
① TRICK×LOGIC
出典:(TRICK×LOGIC公式サイト、https://www.playstation.com/ja-jp/scej/title/trickxlogic/top/)
豪華執筆陣による犯人当て推理ゲーム!
開発はチュンソフト(現在のスパイク・チュンソフト)、発売元はソニーコンピュータエンタテインメントです。対応機種はPlayStation Portable。
ゲーム内容は"読者への挑戦状"付きのミステリさながらで、ほとんど小説を読んでいるのと変わらない手触りで推理を進めていくことになります。
出典:(TRICK×LOGIC公式サイト、https://www.playstation.com/ja-jp/scej/title/trickxlogic/top/)
主人公は何者かにビルの屋上から突き落とされ、魂だけが冥界へやってきた検事の芳川樹(よしかわ いつき)。罪人の魂を裁く閻魔大王の「ヤマ」はこれ幸いと樹の推理力を利用し、未解決事件の罪人を特定しようと試みます。
さて、肝心の収録作品と執筆陣は次の通りです。(ゲームはSeason1とSeason2に分割して発売されています)
Season1
1.我孫子武丸「盗まれたフィギュア」
2.竹本健治「明かりの消えた部屋で」
3.麻耶雄嵩「雪降る女子寮にて」
4.大山誠一郎「切断された五つの首」
Season2
5.黒田研二「亡霊ハムレット」
6.竹本健治「ブラッディ・マリーの謎」
7.麻耶雄嵩「ライフリングマーダー」
8.大山誠一郎「目の壁の密室」
9.綾辻行人・有栖川有栖「Yの標的」
10.我孫子武丸「完全無欠のアリバイ」
個人的なイチ押しは3.麻耶雄嵩「雪降る女子寮にて」ですね。
手ごわい謎が相手ではありますが、ひとつの謎が解けると芋づる式に謎が氷解する爽快な作品です。
TRICK×LOGIC Season1
TRICK×LOGIC Season2
② 不浄なる密室
出典:(ふりーむ!、https://www.freem.ne.jp/win/game/10402)
WOLF RPGエディターで作られたPC用フリーゲーム。作者は鳥籠様。
個人制作ゲームにありがちななんちゃってミステリとは一線を画す完成度を誇ります。
このゲーム目的はパーティ会場で起きた重大事件の犯人を明らかにすること。
プレイヤーは主人公の便(べん)を操作し、大学のゼミ仲間の雲子(うんこくもこ)とともに捜査に乗り出します。
出典:(ふりーむ!、https://www.freem.ne.jp/win/game/10402)
重大事件とは、部屋に鍵を掛けソファで仮眠を取っていた女性の傍らに、
ウ〇コが落ちていたというもの。
出典:(ふりーむ!、https://www.freem.ne.jp/win/game/10402)
選択肢も豊富でプレイヤーを飽きさせません。ミステリが好きな方ならクスッと笑える小ネタもいたるところに仕込まれています。
出典:(ふりーむ!、https://www.freem.ne.jp/win/game/10402)
犯人の指名に関しては、想像で推理の隙間を埋める必要が少しだけありますが、導かれる解答は十分に説得力のあるものになっています。
ボタンを押して調べられるところ以外にも視覚的な手がかりが散りばめられているので、謎を解いてから再度プレイする楽しさもありますよ。
フリーゲームなので無料です。作者様に感謝ですね!
追記①:リンク先は広告が多くてわかりづらいですが、「ダウンロード」という項目の下にある赤い「Windows」ボタンをクリックすればダウンロードページに移行します。
追記②:動作環境は「Win 95/98/2000/NT/ME/XP/VISTA 32bit/VISTA 64bit/7 32bit/7 64bit/8 32bit/8 64bit/10 32bit/10 64bit」と記載されていますが、Windows11でも問題なくプレイできます。
追記③:決して「ウ〇コ」を連呼するだけのウケ狙いのゲームではありません。単なるギャグゲーだと思われることに、作者も遺憾の意を表明しています。いえ、もちろんギャグとしも非常に楽しめる作品ではありますけれども。
『不浄なる密室』はギャグゲームじゃないんですが。
— 鳥籠 (@cage1729) 2015年2月14日
③ 超探偵事件簿 レインコード
出典:(超探偵事件簿レインコード公式サイト、https://www.spike-chunsoft.co.jp/raincode/)
ダンガンロンパの主要な開発陣が再結集して制作した作品。
公式のアナウンスによると、ゲームジャンルは「ダークファンタジー推理アクション」です。
プレイヤーは探偵見習いのユーマを通して事件の調査に乗り出し、謎の解明に挑むことになります。
このゲームは調査から推理に至るまでアクションやミニゲームが取り入られており、加えて魅力的なキャラクターたちのユーモラスな会話が随所に挟み込まれるので、
事件発生→調査→推理
という、ともすれば単調になりがちなミステリの様式美も終始楽しくプレイすることができます。
と、まあ本作品の面白さを延々と綴ってもいいのですが、百聞は一見に如かずという格言があります。興味がある方は以下の公式トレーラーもぜひご覧になってみてください。
気になるところがあるとすればそのロードの長さですが、アップデート等の対応によりだいぶマシになってきましたよ!
※追記:2024年7月18日にsteam版が発売されました。
④ 春ゆきてレトロチカ
出典:(春ゆきてレトロチカ公式サイト、https://www.jp.square-enix.com/retrotica/)
実写で描かれる永遠の命をめぐる物語。
"新本格"ミステリアドベンチャーゲームと銘打って発表された、スクウェア・エニックス(開発はハ・ン・ド)渾身の一作です。
「不老の果実」をめぐり、時を越えて惹起した4つの殺人事件。
プレイヤーはミステリ作家・河々見はるか(かがみ はるか)を通して強大な謎に立ち向かうことになります。
「手がかり」を集め、「仮説」を練り、「論理」をもって謎に挑みましょう。
映画でも観るような臨場感あるプレイスタイルは、技術の進歩に感動すら覚えますね。
魅せる映像、豪華なキャスト、手抜かりなく意識が行き届いた衣装や小物。
それでもあえて難を挙げるとすれば、その操作性くらいでしょうか。プレイする媒体によって違いはあるでしょうが、少なくともswitch版はちょっと操作しづらかったですね。
追記:2024年8月現在のゲームプレイに対応した機種は、
Nintendo Switch
PlayStation 4
PlayStation 5
PC(Steam)
Android (アプリ)
iOS (アプリ)
⑤ かまいたちの夜
『弟切草』に続く、チュンソフト(現在のスパイク・チュンソフト)のサウンドノベル第2弾。
1994年にスーパーファミコン用ゲームソフトとして発売され、その後多くの機種に移植された20世紀サウンドノベルの傑作です。キャラクターをシルエットで表現する手法もこの作品から使われ始めました。
本作の最大の特徴は、プレイヤーの選択によって分岐する物語。
プレイヤーは主人公の透(とおる)を通して自ら推理し、重要な決断を迫られます。
(神がかったスピードで犯人を特定してしまうと、メインシナリオであるミステリー編は早々にハッピーエンドを迎えてしまいますが)
ちなみに脚本担当は推理作家の我孫子武丸先生。
テンポよくユーモラスな文章は、それだけでプレイヤーを楽しませてくれます。
1990年代に発売されたゲームなので仕方ないことですが、ちょっと古い価値観が散見されるところは注意点でしょうか。
苦手な方もいると思いますので、念のためアナウンスしておきます。
かまいたちの夜 輪廻転生
リメイク版です。
2017年にPSVitaで発売され、のちにPC版も発売されました。
DMM.comの提供するアプリ"DMM GAME PLAYER"では、当該アプリ専用版も配信されています。
本家の『かまいたちの夜』とは打って変わり、キャラクターを"シルエット"ではなく"イラスト"で表現しています。また、それぞれのキャラクターのセリフもフルボイス化されており、ある意味では現代向けにチューニングされたと言えるでしょう。
追加シナリオは少しだけあるものの、メインシナリオのミステリー編の展開は同じです。続編ではないことにはご注意ください。
リンク先はアダルトコンテンツであるとの警告が飛んできますが、性的な内容ではなくグロテスクな内容であることからR-18指定されています。(ピンクのしおり? はてさて)
⑥ レイトンブラザーズ・ミステリールーム
出典:(ミステリールーム公式サイト、https://www.layton.jp/mysteryroom/#charaSec)
レイトン教授シリーズのスピンオフにあたる推理ゲームです。メインシリーズのストーリーとは直接的なつながりはないので、本作品から手を出しても物語についていけないということはありません。
開発はマトリックスで、発売元はレベルファイブ。
主役は天才分析官のアルフェンディ・レイトンと、見習い分析官のルーシー・クレイラのふたり。
アルフェンディは某英国紳士の息子(血がつながっているかはさておいて)でもあります。
物語は「専門刑事部秘密捜査・情報課特命捜査対策室」にルーシーが配属される場面から始まります。プレイヤーは基本的にルーシーの視点から事件に対峙し、手がかりを見つけ、論理を武器に犯人と対決することとなります。
メインシリーズのキャラクターもちょっぴり登場するので、そちらの方面の楽しみもあります。
体験版ならなんと第2話まで無料でプレイすることができるので、楽しめるかどうかを遊んでから判断できるのも利点ですね。
ただし、その際はぜひ第2話までプレイしてから判断してください。チュートリアルに相当する第1話の事件は、ある意味尖り過ぎているので……
電子書籍のみですが、ゲームに忠実なコミカライズもあります。
興味がある方はこちらもオススメです。
⑦ ダンガンロンパ
出典:(ダンガンロンパポータルサイト、https://www.danganronpa.com/)
2010年にスパイク(現在のスパイク・チュンソフト)から第1作が発売されて以降、現在までにメインシリーズが3作発表されています。
ゲーム内容は超高校級の才能を持つ15~16人の少年少女たちが、閉鎖空間からの脱出をかけて「コロシアイ学園生活」を強いられるというもの。
公式が「テーマはサイコポップ」と謳っているように、キャッチーな登場人物とグロテスクな物語展開が同居する不思議な手触りの作品です。
閉鎖空間から脱出するにはほかの生徒を殺さなければならず、また死体が見つかった場合には殺人犯(クロ)を決める「学級裁判」が開かれます。
その学級裁判と殺人が起きてから捜査がミステリとしての要素ですね。
魅力的なキャラクターであろうと容赦なく退場していきます。
有名声優が声をあてているから退場しないだろうというメタ読みも通用しません。
現在はメインシリーズ3作+新作ボードゲームがひとつにまとまったお得なパッケージが発売されており、値段に対する物語のボリュームが凄まじいことになっています。
購入を考えている方は、絶対に『ダンガンロンパ トリロジーパック + ハッピーダンガンロンパS』というタイトルを選ぶようにしましょう。
あと、ゲームをクリアしてない方はあまり作品についてネット検索をしないほうが無難かもしません。すぐにネタバレが出てきます(主に画像)。
公式サイトであっても油断はならず、販売グッズとしてとんでもないネタバレをかましてくるので注意しましょう。
登場人物のひとりを主役に据えたミステリ小説(スピンオフ)も発売されています。
全7巻で完結済み。本編よりも時系列的には過去の物語です。
文章を担当するのは機械(物理)トリックの大家・北山猛邦先生です。
終わりに
ほかにも紹介したい作品が山とありますが、入手が困難(プレミア価格等)であったり、古すぎるゲーム機ではないと起動できなかったり、その他諸々の事情で割愛しています。
またこの場で紹介する作品は、ゲーム機の代替わりとともに随時追加・変更していく予定です。
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