~下着泥棒が主役のミステリ~
新装版『監禁探偵(1)』実業之日本社
新装版『監禁探偵(2)』実業之日本社
あらすじ
1巻.『監禁探偵(1)』
コンビニアルバイトの山根亮太は、常連客のひとりを殺害した容疑がかかっていた。
日頃からその常連客をストーキングしていた亮太は精神的に追い詰められ、自宅に監禁しているアカネに助けを求めるが……
2巻.『監禁探偵(2)』
アカネがひき逃げ事故に遭った。搬送先での緊急手術は無事に成功するも、なんだか病院の様子がおかしい。
怪我が回復するまで病院に入院するアカネは、不審な事件を追うことになるが……
主要登場人物
山根 亮太 (やまね りょうた)
25歳のフリーターの青年。コンビニでアルバイトをしている。
盗撮魔。下着泥棒。ストーカー。場の雰囲気に流されやすい性格。
アカネ
ロリータファッションに身を包んだ女性。
容姿端麗にして頭脳明晰。凄まじい情報整理能力を持つ。
ひょんなことから、亮太に監禁されてしまう。
特徴
主人公(1巻)の山根亮太はストーキング野郎かつ下着泥棒のトンデモな輩です。
※夜風に揺れる獲物を見つめる山根亮太。
出典:作画 西崎泰正、原作 我孫子武丸『監禁探偵』実業之日本社、1巻
そんな彼ですが、下着を盗みに飛び込んだベランダで大好物にありつきます。そして、恍惚とした表情で匂いを堪能していると、不幸にも部屋に繋がる掃き出し窓が開いていることに気づいてしまいます。
※千載一遇の機会に大興奮する山根亮太。
出典:作画 西崎泰正、原作 我孫子武丸『監禁探偵』実業之日本社、1巻
これは強姦の大チャンスと天の配剤に感謝する山根亮太ですが、そろりそろりと室内に侵入したところで、住人であるの女性の死体を発見してしまいます。
奇しくもネクロフィリアではなかった彼は、ほうほうのていで自宅へと逃げ帰ります。
※テンションが下がりまくる山根亮太。
出典:作画 西崎泰正、原作 我孫子武丸『監禁探偵』実業之日本社、1巻
急に怖くなって逃げだしたものの、山根亮太は下着泥棒の前科があり、なおかつ女性の部屋にべたべたと指紋を残しています。
彼は自分が窮地にあることに気づきました。
一縷の望みを掛けて泣きついたのは、チャンスがあったのでとりあえず自室に監禁しておいたロリータファッションの女性——アカネ。
※手錠でベッドに拘束されているアカネ。
出典:作画 西崎泰正、原作 我孫子武丸『監禁探偵』実業之日本社、1巻
自暴自棄になり早まったことをしかねない山根亮太を、アカネは巧く操縦しようと試みます。
安楽椅子探偵として真犯人を探し出すとともに、どうにか監禁状態からの脱却の機会を窺います。
一方の山根亮太も頭がよく分析力に長けた彼女との駆け引きを通して、どうにか自分の容疑を晴らそうと躍起になります。あとアカネに監禁の件を水に流してもらおうと奮闘するわけです。
以上、なんというか色々な意味で難儀な物語です。
山根亮太のサスペンスに満ちた大立ち回りに興味が持てる(我慢できる)かどうかが、この作品を楽しめるかどうかの分水嶺となるのではないでしょうか(?)。
この作品に向いている人
・倫理観を欠いた描写が気にならない。
・漫画の読みやすさを重視している。
・下品な描写が苦手。
この作品に向いていない人
・視覚的に派手なトリックを求めている。
・たとえ物語であっても倫理観を欠いた人物は鼻持ちならない。
・過度なエロスを求めている。
まとめ
我孫子武丸原作のオリジナル漫画です。主にタイトルのせいで、外出先で読むには勇気が必要と思われます。
ぶっ飛んだ設定ですが、ミステリとしての内容自体は意外と硬派ですね。真相を知ってから読み返すと、ぞっとするような伏線に気づかされる作品でもあります。
あと、念のため明記しておきますが18禁ではありません。あまり"そっち方面"に期待していると、肩透かしを食うことは間違いありません。
(若干グロテスクな描写はあります)
とはいえ、内容が刺激的なのは事実です。個人的には内容がマイルドな2巻(病院でアレしてる場面とか描かれていますが)から読んでもいいと思いますね。
もちろん1巻の事件のネタバレはありません。
映画版
2013年に劇場公開されました。
小説版
2022年に発売されました。
追記①この作品が好きな方にオススメ
密室殺人ゲーム王手飛車取り
作者は歌野晶午。
こちらもぶっ飛んだ内容の作品です。
インターネット上で、奇抜なハンドルネームの5人が推理ゲームに臨みます。
5人のうち出題者が現実に殺人事件を起こし、ハウダニットを問う形式ですね。
お前の彼女は二階で茹で死に
作者は白井智之。
この作品も探偵が監禁されています。
内容はレ〇プ魔と悪徳刑事が大暴れするとしか……
怪奇探偵・写楽炎1 蛇人間
作者は根本尚。
ものすごく丁寧に作られた本格ミステリ漫画です。
怪人と呼ばれる血も涙ない連中が波乱を引き起こします。
かまいたちの夜
我孫子武丸が原作を担当したサウンドノベル。
プレイヤーの選択によって犠牲になる人数が異なります。