本格ミステリ紹介所

――面白い本格ミステリを紹介する場所――

プレイヤーが登場人物の生殺与奪を握る推理ゲーム【かまいたちの夜】

~"こんや、12じ、だれかがしぬ"で知られたサウンドノベル~

『かまいたちの夜』

 

かまいたちの夜

かまいたちの夜

  • スパイク・チュンソフト
Amazon

 

 

 

 

あらすじ

大学生の透(とおる)は、ガールフレンドの真理(まり)に誘われ、彼女の叔父夫婦が営むペンション・シュプールを訪れる。

 

透はこの小旅行を通して彼女との距離を縮めようと目論んでいた。しかし、やがて宿泊客のひとりが、

 

"こんや、12じ、だれかがしぬ"

 

と書かれた紙切れが部屋にあったことを報告する。

 

和やかなムードは水を差され、やがて起こる殺人事件を皮切りに、ペンション・シュプールは惨劇の坩堝へと変容していく……。

 

主要登場人物

透(とおる)
本作の主人公。プレイヤーの分身。
平凡な大学生。
今回の小旅行を通して、真理との関係を進展させようと目論んでいる。

※ゲームらしく、名前を変更することも可能。

 

真理(まり)

本作のヒロイン。
美人で魅力的なプロモーションを誇る。
透を小旅行に誘った張本人。

※ゲームらしく、名前を変更することも可能。

 

小林 二郎(こばやし じろう)
真理の叔父。ペンション・シュプールのオーナー。
元はサラリーマンだったが、一念発起してペンション経営に手を伸ばす。
料理の腕は超一流。

 

小林 今日子(こばやし きょうこ)    
二郎の妻。争いごとを嫌う優しい女性。
料理が驚異的なまでに下手。

 

久保田 俊夫(くぼた としお)
スキーに熱中するスポーツマン。
ペンション・シュプールのアルバイトをしている。
留年を繰り返しており、自称大学6年生。

 

篠崎 みどり(しのざき みどり)
スキー好きの女性。
ペンション・シュプールのアルバイトをしている。
髪型はポニーテール。

 

香山 誠一(かやま せいいち)
小太りの中年男性で柔道経験者。
大阪で会社を経営している。
趣味はカラオケ。

 

香山 春子(かやま はるこ)
誠一の妻(後妻)。
夫とは対照的に、ほっそりとしたシルエット。

 

渡瀬 可奈子(わたせ かなこ)
東京の会社に勤めるOL。
同僚の亜希と啓子を強引に連れてきた。
髪はロングソバージュ。

 

河村 亜希(かわむら あき)
東京の会社に勤めるOL。
髪はショートソバージュ。
眼鏡をかけている。

 

北野 啓子(きたの けいこ)
東京の会社に勤めるOL。
食にこだわりを持っているおり、ぽっちゃりした体型。
服装に少女趣味が表れている。

 

美樹本 洋介(みきもと ようすけ)
フリーのカメラマン。
山男のようながっしりした風貌をしている。
陽気で人好きのする性格。

 

田中 一郎(たなか いちろう)
黒いロングコート、帽子、サングラスを身にまとった見るからに怪しい人物。
食事中ですら、これらの装飾品は外さない。

 

特徴

1994年にスーパーファミコン用ゲームソフトとして発売され、多くの機種に移植された20世紀サウンドノベルの傑作です。

 

本作の特徴といえばやはり、プレイヤーの選択によって分岐するストーリーにあります。

 

メインシナリオであるミステリー編では"犯人当て"に重きを置いた、緊張感のある物語が楽しめます。

 

ちなみに脚本担当は推理作家の我孫子武丸さんですよ!

 

この作品に向いている人

・いわゆる"読者への挑戦状"が好き。
いわゆる"雪の山荘"が好き。
・ある程度ミステリに読み慣れている。

 

この作品に向いていない人

・重厚なストーリーを期待している。
1990年代のモラルや空気感が苦手。
・主人公が自分の思い通りに動かないのは許せない。

 

かまいたちの夜 輪廻転生(リメイク版)

かまいたちの夜 輪廻彩声

 

2017年にPSVitaで発売され、のちにPC版も発売されました。

 

DMM.comの提供するアプリ"DMM GAME PLAYER"では、当該アプリ専用版も配信されています。

 

本作は『かまいたちの夜』を㈱MAGES.がリメイクした作品で、キャラクターを"シルエット"ではなく"イラスト"で表現しています。

 

また、それぞれのキャラクターのセリフもフルボイス化されており、ある意味では現代向けにチューニングされたと言えるでしょう。

 

追加シナリオは少しだけありますが、メインのミステリー編の展開は同じです。

 

続編ではないことにはご注意ください。

 

リンク先はアダルトコンテンツであるとの警告が飛んできますが、性的な内容ではなくグロテスクな内容であることからR-18指定されています。(えっ、ピンクのしおり……?)

 

 

 

まとめ

いまなお色褪せることのない推理ゲームの傑作です。

 

発売当時の空気を楽しみたいのなら『かまいたちの夜』を、モダンな雰囲気で楽しみたいのならば『かまいたちの夜 輪廻転生』を選ぶといいかもしれません。

 

翻訳もそうですが、時代に合わせて作品をアップデート(?)できるのはこういった媒体の強みですね。

 

追記①この作品が好きな方にオススメ 

TRICK×LOGIC

作品内の"小説"を読み進めて、自力で推理する作品です。
いわゆる"問題編"にあたる作品が多数収録されています。

 

監禁探偵

我孫子武丸が原作を担当したミステリ漫画です。
内容はやや過激です。