～意外と正統派な本格ミステリ短編集～
青崎有吾『ノッキンオン・ロックドドア』徳間書店
あらすじと収録作品
【あらすじ】
インターホンもドアチャイムもノッカーもない探偵事務所『ノッキンオン・ロックドドア』。
戸惑うようなノックの音なら、謎を抱えた依頼人がやってきた“しるし”だ。
密室、容疑者全員アリバイあり、衆人環視の毒殺など【不可能（HOW）】な状況のトリックを推理する御殿場倒理。
ダイイングメッセージ、現場に残された不自然なもの、被害者の着衣など【不可解（WHY）】な状況から理由や動機を解明する片無氷雨。
相棒かつライバルのダブル探偵が、難事件に挑む！
引用元:ノッキンオン・ロックドドア - 徳間書店
(https://www.tokuma.jp/book/b493526.html)
【収録作品】
1.「ノッキンオン・ロックドドア」
風景画で知られる画家が、自宅のアトリエで殺害された。現場は密室になっており……
2.「髪の短くなった死体」
マンションの一室でとある劇団のリーダーが殺害された。被害者はなぜか髪が切られており……
3.「ダイヤルWを廻せ！」
「亡くなった祖父が遺した金庫が開かない」。遺書にある数字は暗号ではないかという相談が舞い込むが……
4.「チープ・トリック」
自宅の書斎で、大企業の重役が窓越しにライフルで狙撃された。窓には遮光カーテンを引き、被害者は位置を悟られぬよう警戒していたはずだったが……
5.「いわゆる一つの雪密室」
雪の降り積もった空き地に、ひとりの男が倒れていた。包丁で胸を刺されているが、周囲には男の足跡しかなく……
6.「十円玉が少なすぎる」
「十円玉が少なすぎる。あと五枚は必要だ」。スーツの男がスマホ越しに不可解なことを話し出し……
7.「限りなく確実な毒殺」
政治家が毒殺された。しかし、毒が検出されたシャンパンに細工する機会などなく……
主要登場人物
片無 氷雨（かたなし ひさめ）
不可解(Why)専門の探偵。
地味な眼鏡をしている。
御殿場 倒理（ごてんば とうり）
不可能(How)専門の探偵。
悪魔みたいな巻き毛。
薬師寺 薬子（やくしじ くすりこ）
探偵事務所のアルバイト。
高校生。
穿地 決（うがち きまり）
警部補。駄菓子をよく食べている。
名前からは判断しづらいが、女性。
※雰囲気を掴むのであれば、徳間書店公式の特設マンガを読むほうが早いかもしれません。
特徴
短編集。基本的にふたりの探偵が語り手です。
事件ごとに、視点人物が入れ替わったりします。たまにアルバイトの高校生が語り手にもなります。
作者が"平成のエラリー・クイーン"と喧伝されているだけあって、緻密なロジックが展開されていますね？
この小説に向いている人
・ロジックを重視している。
・コミカルなキャラクターが好き。
・とりあえず本格ミステリというものを読んでみたい。
この小説に向いていない人
・重厚なストーリーを求めている。
・コミカルなキャラクターが苦手。
まとめ
キャラクターはコミカルですが、中身は至って正統派の本格ミステリです。
ところで件の"平成のエラリー・クイーン"ですが、本人は”令和になって呼ばれずに済む”と茶化しているそうな。
追記①この小説が好きな方にオススメ
ノッキンオン・ロックドドア２
続編です。
こちらも短編集。
友達以上探偵未満
作者は麻耶雄嵩。こっちは女子高生コンビです。
負けたらワトソン！？ の惹句で宣伝されていました。
読者への挑戦状付き。
当ブログでの紹介記事はこちら。
七十五羽の烏
作者は都筑道夫。
堅実でともすれば地味なくらいにロジックを重視したミステリです。
