~在りし日の思い出を偲ぶミステリ漫画~
※上記のリンク先で無料で読むことができます。
あらすじ(三行)
少女探偵が
写真屋の息子と
事件を解決していくが……
主要登場人物
火脚 葉月(ひなし はづき)
少女探偵。高校生。
光谷 太陽(みつや たいよう)
写真屋の息子。高校生。
死の道化師(しのどうけし)
ピエロに扮した不気味な怪人。
「人間水中花事件」を引き起こす。
人形紳士(にんぎょうしんし)
シルクハットにマントというバタ臭い恰好の怪人。
少女探偵・火脚葉月が対峙する最後の怪人でもある
特徴
舞台は昭和末期の千葉県。少女探偵と写真小僧が事件に巻き込まれたり、逆に首を突っ込んだりする物語です。
作品はサインペン一発書きでネームの状態ですが、巧みな筋運びと細やかな心理描写に引き込まれ、読んでいるうちにまったく気にならなくなります。
要はノスタルジックな青春ものとして非常に魅力的な読み物であるということです。
ではミステリとしての側面はどうなのかというと、こちらも秀逸であると舌を巻かざるを得ません。トリックやロジックもさることながら、ほとんど装飾としての描写がないと思わされるほど、伏線の扱いに長けた物語といえるでしょう。
そしてなんとこの作品――なんと最初から最後まで無料で読めます!
しかも分量にして270ページ以上!
これを幸甚と言わずして何と表現すればいいのでしょう!
作者(根本尚)様に感謝ですね!
※裸体等の描写も出てきますが、無意味なセクシーカットではありません。鼻白んで読むのをやめるのはもったいない!
この作品に向いている人
・機械(物理)トリックが好き。
・きれいに完結した物語を鑑賞したい。
・推理だけでなく、ストーリーも楽しみたい。
この作品に向いていない人
なし。
※無料なので食わず嫌いせずに読んでみてください!
まとめ
在りし日の思い出を偲ぶ、いまふうの言葉で表現すればエモい物語です。
ミステリとしても堅実な出来であり、近年量産されているなんちゃってミステリとは一線を画すクオリティを誇ります。
しかし、noteで本作が発表されてから半年以上の時間が経過しているにもかかわらず、知名度はあまり高くありません。ネットの海をサーフィンした限りでは、作品への言及もそれほど見られませんでした。(「本格ミステリなるジャンルそのものが衰微の一途を辿っている」なんてチクチク言葉は禁句です。)
これはまさに人気のある作品=優れた作品を否定するよい例だと思います。
小説というメディアではより顕著ですが、エンタメが氾濫する現代ではマスメディアによるプロモーションの影響が大き過ぎるんですよね。
色々ぶつくさ書きましたが、何はともあれミステリ好きの方にこの作品はもっと読まれるべき、もっと評価されるべきだと思います。
※同作者(根本尚)の怪奇探偵シリーズもオススメです。こちらも非常に魅力的な本格ミステリに仕上がっていますよ!
電子書籍のみの取り扱いになりますが、怪奇探偵シリーズは現在は4巻まで発売しています。
ちなみに作者様による簡単な自評は次の通りです。参考までにどうぞ。
(『人形紳士 少女探偵・火脚葉月 最後の事件』と『怪奇探偵・写楽炎』の毛色の違い)
返事が遅れました!
— 根本尚 (@satsuroku) September 20, 2023
ミステリ性とキャラクター性の均衡を取ろうと思いながら描きました。
ステータスの振り分けが10あったなら、写楽炎は推理5・怪奇4・キャラ1、くらい。
火脚葉月は推理3、怪奇3、キャラ4くらいの割合で平均的に振りました。
葉月と太陽を動かしていて楽しかったです。