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班目機関の科学力は世界一ィィィィーーーー!【魔眼の匣の殺人】

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~今度は恐ろしい〇マが登場~
今村昌弘『魔眼の匣の殺人』東京創元社


屍人荘の殺人』の待望の続編
本記事には『屍人荘の殺人』のネタバレが含まれているので、未読の方はご注意ください。

 

前作『屍人荘の殺人』の記事↓

 

 

 

 

 

あらすじ

 

「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」人里離れた施設に暮らし、予言者と恐れられる老女は、その日訪ねた葉村譲と剣崎比留子ら九人に告げた。直後、彼らと外界を結ぶ唯一の橋が燃え落ちて脱出不可能に。予言通りに一人が命を落とし、さらに客の女子高生が予知能力者と判明して慄然とする葉村たち。残り48時間、死の予言は成就するのか。

 

引用元:今村昌弘『魔眼の匣の殺人』特設サイト
(https://special.tsogen.co.jp/kenzakihiruko)

 

忙しい方向け(三行)

班目機関についての
情報収集に向かった先で
クローズド・サークルの憂き目に

 

主要登場人物

葉村 譲(はむら ゆずる)
神紅大学経済学部一回生。
ミステリ愛好会会長。語り手。


剣崎 比留子(けんざき ひるこ)
神紅大学文学部二回生。
ミステリ愛好会会員。

 

十色 真理絵(といろ まりえ)
高校2年生。
未来の光景を絵に描く予知能力を見せる。

 

茎沢 忍(くきざわ しのぶ)
高校1年生。真理絵の後輩。
オカルト好きで『月刊アトランティス』の愛読者。

 

王寺 貴志(おうじ たかし)
容姿端麗で物腰柔らかな会社員。
ツーリング中にガス欠となり、葉村たちと出会う。

 

朱鷺野 秋子(ときの あきこ)
髪の毛から靴の色まで赤尽くしの女性。
"魔眼の匣"のある好見地区の元住人。

 

師々田 厳雄(ししだ いわお)
大学教授。専門は社会学。
ミステリのネタバレは絶対に許さない。

 

師々田 純(ししだ じゅん)
厳雄の息子。
小学生。

 

臼井 頼太(うすい らいた)
オカルト雑誌『月刊アトランティス』の編集者。
記者も兼ねており"魔眼の匣"には取材目的で訪れた。

 

天禰 サキミ(あまね さきみ)
予言者の老女。
白装束に身を包んでいる。

 

神服 奉子(はっとり やすこ)
サキミに仕える女性。
日本画に出てくる幽霊を彷彿とさせる出で立ちをしている。

 

特徴

『剣崎比留子シリーズ』第2弾にして、今村昌弘渾身のミステリ第2作目。

 

本作は"予知"をテーマに据えた特殊設定ミステリです。"未来が見える"という設定自体は決して珍しいものではありませんが、本作の"予知"の扱いには「そう来たか」と膝を打たされることでしょう。犯人特定に用いる手がかりは、『屍人荘の殺人』同様洗練されています。

 

前作ではゾンビが物語のスパイスとなっていましたが、本作ではなんと"恐ろしい〇〇"が登場します。〇〇です。

 

そして、剣崎比留子の"お茶目"な一面が存分に披露されているのも、本作の魅力のひとつでしょう。彼女のファンならば、読まない理由はありません

 

"神紅のホームズ"派にはこちら。

 

 

この小説に向いている人

・動機を重視している。
・いわゆるクローズド・サークルが好き。
・主役の葉村&剣崎が好き。

 

この小説に向いていない人

・派手なトリックを期待している。
・いわゆる特殊設定ミステリが苦手。
・コミカルなキャラクターが苦手。

 

まとめ

"予知"を題材にした特殊設定ミステリです。恐ろしい〇〇も登場します。

 

『屍人荘の殺人』が大成功を収めての本作。執筆に相当な重圧がかかったことは想像に難くありません。ベストセラーの次作というのは、往々にして作者にとっても読者にとっても試練となるものです。

 

さらに某事件の影響もあり、「続編、大丈夫かなあ……」と、読者の立場から勝手に気を揉んでいたのですが、そんな心配は見事に杞憂に終わりました。

 

読後には、安堵とともに「次は作品を世に出してくれるのか?」と、つい期待してしまいます。

 

追記①この小説が好きな方にオススメ

兇人邸の殺人

続編です。

 

星詠師の記憶

作者は阿津川辰海
こちらも"予知"を題材にしたミステリです。